名古屋で税理士事務所に勤務しながらMBAを取得。税理士試験の突破した勉強法や自己啓発、節税や節約情報などの情報をお送りします。

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マイナンバーで行政はどのように変わるのか

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前回は、マイナンバー制度による金融機関の預貯金口座を紐付けに関する預金付番については「金融機関は預貯金口座情報をマイナンバーまたは法人番号によって検索できる状態で管理しなければならない」という方向性を紹介しました。

マイナンバーであなたの情報は丸裸にされるのか?

今回は、預貯金口座を紐付けなどによるマイナンバー制度で税務調査などの行政がどのような影響があるのかを紹介します。

税目を超えた調査や行政指導が増えると想定される

マイナンバーの導入により、会社の税金(法人税・源泉所得税・消費税)と経営者個人に関する税金(所得税・相続税)の税務調査を併せて行う、税目を超えた税務調査が今後、ますます増えると考えられます。

税務調査は税目ごとに行われるのが通常ですが、マイナンバーで名寄せが極めて簡単になりますから、預金情報など、納税者の見えないところで国税が収集している資料の紐付けが容易になりますので、たとえば会社の預金情報と社長の預金情報を併せてチェックすることもしやすくなります。その結果として、一度の税務調査により、税目を超えて一気に税金を課すといった税務調査が増えることが考えられます。現状の制度では税務調査は事前通知でどの税目を何年遡って調査するか提示しなければなりません。例えば、法人の税務調査では法人税・消費税・給与に課される源泉所得税を過去3年分を調査する場合には、その旨を通知します。しかしながら、実際の税務調査においては、これらの項目に関係ない所得税の調査のために個人である社長の通帳を提示させたり、不法な税務調査が行われているのも実情です。それをお咎めしない顧問税理士にも問題があります。

税務調査に変わる行政指導の増加

これは、国税のシステムに左右されますが、税務署からのお尋ね文書を発送するなど、税務調査ではない簡便な指導として、現在も多く行われている行政指導がますます増加すると考えられます。なお、行政指導とは法律ではなく、納税者の自発的な協力に基づく行政の指導で、申告内容の疑問点に対する回答などを求められるものです。

理論上、マイナンバーをベースに支払調書のデータをスキャンするなどして国税のシステムに取り込めば、自動的に申告がもれている納税者をピックアップすることが可能になります。

もちろん、申告漏れの金額にもよりますが、このような単純ミスについていちいち税務調査を実施するとなると効率が悪くなりますので、行政指導としてお尋ね文書を発送し、自発的に申告内容の是正を求める、といった実務にが広く行われると想定されます。

顧問税理士との信頼関係が問われる!?

税目を超えた税務調査が増えるとすれば、その対策には当然ながら多くの税法の知識が必要になります。しかし、税理士は税務の専門家とは言っても、すべての税法の知識が深いわけではありませんので、法人税については詳しくても相続税は詳しくない、といったケースが多いのが実情です。となりますと、このような税目を超えた税務調査において十分な対応ができるとは限らないので、顧問税理士の得意、不得意や知識量などについても、あらかじめ確認しておく必要があります。

また意図的に申告しない場合は別にして、隠しようがない支払調書の対象となる所得について申告がもれるケースとしては、税理士に連絡が漏れていたり、税理士が提供された資料のチェックをミスしたりするなど、税理士との信頼関係に問題がある場合がほとんどです。このため、税理士との信頼関係を従来以上に固める必要があります。マイナンバー対応いうと、自分自身の申告や財産の状況だけに注意しがちですが、税理士との信頼関係についても、見直しが必要になると考えられます。

マイナンバーの話題からは脱線しますが、広告などで一人の税理士ではすべての税法を網羅できないとし、複数の税理士が関与するから安心、といった宣伝する税理士事務所、税理士法人があります。しかし、複数の税理士が関与するなどいいながら、その実一人の税理士に仕事を丸投げし、他の税理士は関わらない、といった不誠実な事務所も残念ながら存在します。ですので、常日頃の税理士の関与状況に対しても気をつけておくべきでしょう。

マイナンバーの信頼は大丈夫なのか

そもそも行政はマイナンバーを活用する気があるのか?

マイナンバーカードの郵送された際になかなか本人の手許に届かないという問題がありました。その理由の一つに総務官僚の利権が絡んでいるという報道や記事がありました。それはともかく、平成28年1月に制度が始まるというのにマイナンバーカードの交付手続きがスムーズに進まないという馬鹿げた事態が起こっていて、行政は本気でマイナンバー制度をやる気があるのか、私自身、疑問に残っております。

私自身、マイナンバーカードを発行しましたが、マイナンバーカードを持っていたからと言って、カードの現行のメリットは本人確認がよういになるくらいでしょうか(ちなみに身分確認は専ら運転免許証ですが)。逆に、マイナンバーカードがあることによりカードの紛失、誤って人に見せてしまうリスクが大きくなるだけで普及すると考える方がおかしいと思います。

マイナンバーを提示しないとどうなるのか?

また、このような制度不安があるため、顧問先の従業員様からマイナンバーの提供を受けられないといった事態を経験しました。このような場合の取扱いとして、国税庁のFAQでは、

  1. マイナンバーの記載がない法定調書等の提出があっても受理する
  2. マイナンバーの提供が義務であることを、提供しない者に粘り強く求めた経緯を記録して、マイナンバー制度上の単なる義務違反でないことを明確にすれば、マイナンバーを収集する会社としては問題はない

といった趣旨が記載されています。となれば、上記のFAQだけが一人歩きして、とりあえず提供しない者に粘り強く求めた経緯を記録だけしてしまえば、という事態が生じています。もちろん、この対応には問題はありますが、どの程度なら粘り強く要請したといえるのか線引きが難しいといえますので、記録さえあれば、国税は原則スルーするといった実態です。

実務上においては、すくなからず、マイナンバーを提示することに抵抗する人もいますので、強制ではないため、個人的にはこの制度は助かっています。

まとめ

上記のようにマイナンバー制度の導入により、税務調査に変わる簡易的な行政指導やスムーズな行政が期待されていました。しかし、現行では、マイナンバーの提示は法律上では義務ですが、実務においては任意に近い状況です。ちなみにマイナンバーを提示しないことは法律に違反していることになりますが、このような従業員や支払先に対しても、国税は厳格な是正指導をしないと考えられます。なぜなら、これらの人数は膨大ですし、一人一人の支払金額は、全体から見れば大きくはないと考えられるからです。となると、マイナンバーを記載しない方が結果として得する、といった、制度の揺るがす事態にならないか懸念されます。

また、マイナンバー制度が制定されて3年が経過されますが、マイナンバー制度による弊害・詐欺行為は報告はありませんが、その反対にマイナンバー制度の恩恵もありません。私自身はマイナンバーカードにより自分の確定申告が電子申告ができたことと、住民票の移動で書類が必要ではなくなったことぐらいで、大きくCMで報道してような効果が今後もあるのか疑問です。

 

 

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